拈華微笑(ねんげみしょう)―4


私は張志祥先生より、何度にも渡っていろいろな能力をお渡しいただいた。

題に掲げた故事は故事だけではなく、元極功法に脈々と流れる神秘的な能力・情報の伝達方法である。

私がこのことを最初に実感したのは、

元極を修錬し始めて4,5年経った頃、中国・蓮花山に行ったときのことであった。

その時講座に集った日本人や中国の客人達と共に、

張先生と昼食を取る機会が与えられた。

楕円形の大きなテーブルに十五・六人が着いたであろうか。

テーブルの真ん中には、大きな花が飾ってあり、心の行き届いたもてなしが感じられた。

私は幸運にも、張先生の直ぐ右横の席に案内され、着座することが出来た。

食事中は、いつもの事ながら、修練者や客人から張先生への質問で終始される。

食事が佳境に入った頃、あまりというか殆ど量を召し上がらない張先生の右手が箸を置き、

人差し指の先で小さくテーブルの上に文字のようなものを書いたのを見逃さなかったのは、

場の利を得た私だけであった。

他の者は、中央に綺麗に飾られた花器に阻まれて気がつかなかったのである。

「あれ、食事中に何をお書きになっているのだろう?」

と訝(いぶか)った私の脳裏に次に進入してきた意識は、

「あっ、何か戴いた。」というものであった。

その時は、あまりに突然のことで、何を戴いたか見当も付かない状態で、

その後の食事は、呆然と過ごしていて、何をどのように食べていたのかも良く覚えていない。

数日後、その時戴いた力は、

人に能力を渡す力であることがハッキリと判った。

 (つづく)

キャノンS90 

元極功法

Posted by masuda