神々の酒の好み 「酒はぬるめの燗がよい」―5
宗教との関係は、あまりありません。
風土と作物と人とが織りなす酒が、そこに誕生したということです。
嘆かわしいは、このさけの効用が、うまく利用されておらず、人々の心や身体を荒廃することが多々あることです。
人々が共同で生活する上に、和気藹々となる、ほがらかな場が必要でした。
そのために、酒が珍重されたにもかかわらず、ひとりで憂さ晴らしのために飲む者達が、いかにも多くなりました。
こころの、うさをはらして、心が朗らかになるための妙薬としての酒です。
集いの席での酒が、好まれたのです。
現代ではいつでもどこでも、手軽に手に入るがために、酒の効用やもたらす結果が変化しています。
毒にも薬にもなる酒を、慈しんで、ほのかなかおりを皆で共有しながら楽しむ。
みなで、悦に入って楽しむことが大事なのです。