気配ということ 3
その後、何回か練習したら、気配を消すことは自在に出来るようになりました。
画訣や伝訣の三元エネルギー取り入れの時に、
「人門を開けて、天地万物に通じます。」と言いますが、それを実際にやるだけです。
先回、
時代劇の闇討ちをする場面などで、
「やって来るぞ。殺気を消せ!」
等という台詞を聞いたことが有るでしょう。
と書きましたが、昔の剣術の達人は、当然の如くこんなことは出来たのでしょう。
後日、知り合いと鎌倉に行くことになりました。
鶴岡八幡宮、長谷寺、鎌倉大仏で有名な高徳院等を周り、
疲れたのでお茶にすることになって、回り階段で二階に上がる喫茶店に入りました。
階段を上りきって、喫茶店の入り口外にえさ箱のような物が置いてあったのですが、
別段動物が居る訳でもありません。
訝(いぶか)しがりながら、席に着きました。
ゆったりと、珈琲を啜(すす)りながら、ふと入り口の方を見やると、
先ほどのえさ箱で野生のリスが、えさを食べて居るではありませんか。
「なぁ~だ、リスさん用のえさ箱だったんだ。」
と合点しながら、暫くその様子を見ていましたが、
根っからいたずら好きの性分が疼(うず)いてきました。
そぉ~と、気配を消してリスに近づいていったのです。
遠くの席から、そろそろとほんの1,2メートルの所まで近づいたら、視界に僕が入ったのでしょう、
凄いスピードで2メートルほど先の手すりの上まで逃げていきました。
ところが、その位置で一度止まると、
「あれぇ~~?」
というような素振りで、振り返ったのです。
野生のリスなので、人が近づけば本来なら完全に安全な位置まで逃げるはずなのに、
そこで暫く様子を伺っているのです。
たぶん、視界に人が入ったので、反射的に逃げようとしたのですが、
何の気配も感じなかったので、どうしたことだろうと様子を見たのだろうと思います。
そこで、僕が気配を戻したら、一目散に駆け逃げていきました。
シグマDP2Merrill(メリル)