終末と命 1
「元極ニュース」の新年号に書いた記事を、このブログを見て下さっている皆さんに、前もってお送りしようと思います。
新年にあたり、そして、終末の時がますます近づいている年頭に、一つ重すぎるお話をいたしましょう。
昨年、脳死と判定された者の家族の同意により、臓器提供が可能となる法律が出来ました。
すぐさま我々の身近でも、実際にそれが行われる事を経験したのです。
そこで、もう一度この「脳死」について、どういう事なのか詳(つまび)らかにしていきたいと思います。
お医者さん方は、コントロールタワーである脳が停止をしたのだから、
コントロール不能の肉体はもう死んでいると判定してもおかしくないと考えているのでしょう。
確かに肉体は脳によってコントロールされています。
よって、肉体の中で一番エネルギーを消費するのは、脳である事は、医学的にも明らかになっています。
その事実が、真実に迫る大きな鍵となります。
人の身体は、それを守るために免疫力など、幾重もの防御機能を持っています。
それら幾重もの防御機能を使い尽くしても、
生きるか死ぬかの瀬戸際まで追い詰められたとき、人は最後の防御機能を発動します。
それが、脳の機能停止なのです。
肉体が最大限に復活のためのエネルギーを使う事が出来るよう、脳を一時的に停止し、肉体の回復を図ります。
しかし、それはぎりぎり精一杯の「徳俵(とくだわら)」とも言える行為であるが故、
助かる確率は非常に低いと言えます。
低いとは言えますが、そこから生き返った例が何例もあるのです。
その生き残るための本人ぎりぎりの戦いを、家族が了解したとはいえ、
終焉させても良いものか、もう一度本当の事実を知った上、議論していただきたいのです。
如何に家族といえど、いや、家族だからこそ本人の了解もなく、命を絶ってしまって良いものか?
こうした事を鑑みて、我々は基本的に「脳死」による臓器提供には積極的にはなれません。
けれども、前述の身近な例では、ご家族の延命の施術依頼をお断りしました。
それは、以下のような理由からです。(つづく)