ピカソ 再び (5)
ピカソの神が、自らの業績と作品について詳しく述べて下さった貴重な「芸術論」も、今回で最後です。
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後世に残す目的で描かれたわけではない私の絵が、結果的に後世に認められて、あるていどの評価を得ているのは、非常に嬉しいことです。わたしは、生活の糧として描いた時期もありましたし、思いのままにわがままに描いた時期もありました。それらの私の人生の道のりがあってこそ、結果的に良い絵が生み出されたのでしょう。
私に与えられた役割は、自分の得意とする絵画、芸術で人々を魅了することです。
感動が存在すると共感が生まれる。共感によって、相互の関係ができれば、エネルギーのやり取りが発生し、結果として感動が残り、定着する。そういう「魅了」が実現したのを喜んでいます。
そのとき、そのときの思いの丈を表現できた喜び、多くの者に自己の思いを訴えることが出来た喜びを感じています。
今、神としての立場を与えられて、共感して心を動かすという点で、気持ちを同じくして歩く者たちとともに、仕事をしていくことになります。
モノが動く、ということと同じように、心が動く、ということは、事柄の基礎となる大切な底辺です。心を動かすということは、共感する、同じ思いをする、波動を合わせる。そして無形であるエネルギーの流動が完成する、ということです。私のアドバイスがそういう分野で、あなた方に生かされることを切望しています。
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終わるにあたって、一つ申し添えておきます。ピカソの神は、取り立てて一つの色に愛おしい程の愛着があったということです。それは「黄緑」です。わざわざそのことを、私に「記憶しておいて下さい」と、最後に述べていかれました。(最終回)
今、国内三カ所でピカソの展覧会を開催しています。いずこも会期本日までです。
巨匠ピカソ愛と創造の奇跡 国立新美術館 ~12/14
巨匠ピカソ魂のポートレート サントリー美術館 ~12/14
ピカソとクレーの生きた時代展 名古屋市美術館 ~12/14